こんにちは、中尾です。
ドイツで国外関連取引に従事する企業は原則として、移転価格文書を作成する義務を負っています。
在ドイツ日系企業も、その例外ではありません。
では実際、義務が必ず遵守されているかというと、残念ながらそうでもないようです。
その理由の一つとしては、移転価格文書に関するドイツの提出要件が挙げられると思います。
ドイツは「税務調査時において、税務当局からの要請があった場合にのみ、移転価格文書を提出する」というルールになっています。
そのため、「移転価格文書を毎年作成しなければならない」というマインドが働きにくいのではないでしょうか。
しかしながら、今回のコロナ騒動を受けて、ドイツ税務当局が国外関連取引の適正性を精査してくる可能性は否めません。
当局としては、『コロナ騒動に起因するドイツ納税者へのマイナス影響』というしわ寄せを、本当にドイツ納税者が受けるべきなのか、という観点から精査することが考えられます。
このような状況であるからこそ、移転価格文書を作成しておくことが重要となるのです。
最後に、質問させてください:御社の業績が悪化しているとした場合、その理由を税務当局に対して、ちゃんと説明できるでしょうか?