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新型コロナウィルスが移転価格に与えうる影響
2020年3月31日
カテゴリー/ 税務・会計・法務コラム

こんにちは、中尾です。

今回のテーマは、「新型コロナウィルスが移転価格に与えうる影響」です。具体的には、「新型コロナウィルスの影響で業績の悪化が見込まれる場合、在ドイツ日系企業はどのような点に留意すべきか」について考えたいと思います。

在ドイツ日系企業の数は約1,800社ですが、その過半数は通常的な機能・リスクを有する販売会社です。移転価格の世界では、それら企業のことを「限定リスク販売会社Limited Risk Distributor(LRD)」と呼びます。LRDは、その機能・リスクが限定的であることから、「低くてもいいが安定した(営業)利益率を稼得すべき」と考えられています。この「あるべき(営業)利益率」を算出するにあたっては、ベンチマーク分析(データベースから類似企業を選定し、それら類似企業が稼得した(営業)利益率のレンジを算出する作業)を実施します。

では、納税者の実績利益率が「あるべき利益率」から大きく乖離している場合、そのまま放置していてもよいのでしょうか?

新型コロナウィルスがここまで拡散することは、ほとんどの企業が想定していなかったと思います。移転価格の観点からいえば、納税者は、ビジネス環境の予期せぬ事態によって、当初設定したターゲット利益率を達成できなかった旨を説明する必要が生じます。例えばですが、「当初の予定どおりフル稼働することができず、売上は減少したが、固定費は現水準を維持したため、営業利益率が減少した」などの理由が挙げられると思います。

また、場合によっては、LRDに適用する「あるべき利益率」のレンジを算出し直すことも検討すべきでしょう。但し、その際は日本の親会社と連携しながら検討を進めてください(親会社は日独間取引のみならず、他の関連者間取引も視野に入れながら利益配分を検討する必要があるため)。

状況を説明できるようにすること、そして、利益配分について親会社と連携すること。こうした対応策を講じることが、新型コロナウィルスが猛威を振るう中、在ドイツ日系企業にとって大切となります。

しかし、もっとも大切なのは、皆様の健康です。決してご無理なさらず、くれぐれもご自愛のほどお願い申し上げます。